歴史を感じる「安全な散策路」を作ってくれる、なまこ壁
高潮や塩害から資財を守る為に、
海沿いの町では古くから「なまこ壁」を暮らしの中に取り入れてきました。
そのため海沿いの民家や蔵では、
外壁や塀になまこ壁を施工しているところが今でも多く見られます。
特に古くからなまこ壁がよく用いられてきた海沿いの町で、
「なまこ壁のある街並み」として今や観光名所ともなっているのが
伊豆・下田の町並みです。
伊豆・下田の町では土蔵だけでなく民家や喫茶店や旅館など、
あらゆる建物の外壁や塀になまこ壁があしらわれているのを見ることができます。
資財など大切なものを保管する土蔵に使われることが多く、
そのため富の象徴として施工されることの多かったなまこ壁ですが、
今は庶民的な暮らしの中にも登場することが増えてきています。
なまこ壁は歴史の長さを感じさせる施工なため、
観光名所に彩りと歴史の深みを添えるという意味で、
使われることが増えてきたからでしょうか。
なまこ壁は豪勢な建物によく似合う壁の施工ですが、
庶民的な街並みの中にも自然にもよくなじむ施工方法です。
特に散策する人が多い観光名所などでは、
散策路のあちこちになまこ壁を施工していることがよくあります。
例えば橋の欄干や、遊歩道の脇にある塀などになまこ壁を施工する場合があります。
なまこ壁は風雨や塩害に強いため、歩行者の安全性を高めつつ、
歴史を感じる街並みや散策路を演出することができるからです。
またなまこ壁のある風景の中に花壇を一緒に作ると、
なまこ壁が花の背景として映え、まるで日本庭園のような風景に変えることもできます。
伊豆の土肥温泉では街並みの景観を高めるためと、
津波や高潮の被害から人々を守るために
防潮堤になまこ壁が施工されているところもあるそうです。
なまこ壁は風雨や塩害に強いため、
街の景観維持のために必要なメンテナンスの手間がかかりにくいのも、
こういった街並みの中になまこ壁が施工される理由かもしれません。
なまこ壁は強いだけでなく、その独特な幾何学模様で街並みに落ち着きと彩り、
そして歴史の深みをイメージとして与えてくれる効果もあります。
また自然素材を使っているため、自然の多い街並みにも人工的な街並みにも
よくなじみ調和するという利点があります。
さらになまこ壁の特徴的な模様は、
施工場所にモダンな印象や落ち着きのある印象を添えることができ、
歴史の深さを感じられる街並みや落ち着きのある風景を作ってくれます。
歴史の深い観光名所によく似合うのが「なまこ壁」です。
ぜひ街づくりの一環として、街並みを変化させる手段として
「なまこ壁」を使ってみてはいかがでしょうか？
